北アルプス山麓のクマたち

2010/11/08 22:48 に ついついペコ が投稿
 ずっとクマの写真を撮りたいと願っている私ですが、やっと2回目のクマの写真を撮ることができました。でも心から喜べず、今回は考え込んでしまいました。

 「クマが出没した」と言う放送が頭の上のスピーカーから流れたのは、昨日の朝の7時半頃です。いたと言われて飛んで行っても会える訳でもなく、午前中は電話とファックスのやり取りで忙しい時間が過ぎました。

 昼ころになり「2匹の親子のクマが潜んでいる。注意を」という放送が再度スピーカーから流れました。スピーカーの声がかすれて、場所がしっかり聞き取れません。でも「親子」、「潜んでいる」そんな放送を聞いて居ても立ってもいられません。役場に確認の電話を入れたところ、民家の付近にいて、まだ見つかっていないとのこと。

 「見つかっていないのなら、もしかしたらチャンスかも知れない」、そんな考えが浮かび、車を飛ばしました。家から車でわずか5分です。細い道の入り口に車が横付けされています。危険なので、立ち入り禁止にしたのでしょう。仕方なく逆方向に回り込み、空き地に車を止めて、人が集まっている方に行きました。

 何人もが木の上を見上げています。まだ捕獲されていなかったことに、内心喜びました。生きたクマの写真を撮りたかったからです。
 その後のことは「【親子のクマ騒動・長野県松川村神戸】2010.11.9」をお読み下さい。



 クマのデータが入っているカメラを持って、家に帰ったのは夕方でした。いつものことですが、どんな写真が撮れているのか、パソコンで見るのはとっても楽しみな瞬間です。

 でも、予想は逆転しました。カメラに写っていた子グマの表情を見て、どれもあまりにも悲しそうで、心がどんどん沈んでいくばかりでした。

 目の前で親を打たれ、必死に逃げて登った木を切られ、高さ10m以上の木の上から3回も落とされ、寒い風が吹く中で水を掛けられ、びっしょりに濡れた体に当ったのは、麻酔銃の矢です。

 確かに、人間の領域に入り込み、危害を加える可能性を持っているクマたちです。あるクマはびっくりして人間を襲い、家の中にも入り込み、あるクマは畑の農作物を荒らし、木の皮も剥いて林業被害ももたらします。

 でもそのことで、こんなに辛い目にあわされないといけないのでしょうか。親を失った0歳の子グマは、山で放されても生きていけるのでしょうか。ドングリの採り方を覚えたのでしょうか。冬の寒さをしのぐ方法を身に付けたのでしょうか。

 クマだけがこういう思いをしている訳ではなく、シカも、イノシシも、カモシカも、サルも、被害を人間に及ぼすと言うことで、毎年何十頭も何百頭も駆除されています。
 「人間を襲ったから」なら、まだ分ります。でも、作ったカボチャを食べたから、水田の中で転げ回ったから、リンゴや栗を食べたから・・・どれも人間にとってはもっともな理由ですが、山に生き動物たちにとっても生きていくための手段なのです。生き物たちの住む環境をどんどん侵害しているのは人間なのに、人間の側の「有害」の一言で、銃を向けられています。

 写真を撮りたいの一心でカメラを向けましたが、写真に写った、あの悲しい子グマの目を見たら「もう、こんな思いをさせたくない。いつか動物たちと共存できる日が来てほしい」、心の中からそう願わずにはいられませんでした。
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