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2010/08/17 9:10 に ついついペコ が投稿
 

「いない?しっかり探したのか」

「さっき探していなかったんだよ…」

「もう一度、しっかり探せ」

 剛の眉間のしわが一本増え、声が大きくなる。そこで俊が口を開いた。

「剛…ここ病室なの忘れてない?」

「……あっ。忘れてた…すまん俊」

「分かってくれればいい。それでは、話を戻そうか剛」

「あぁ。そうだな」

 俺は、二人の態度に奇異な感じを受け、「助かった」と一瞬でも、思ったことに後悔した。そして、この場を脱出する方法を必死で模索した。

「いっ、いや。も、もう帰るよ。長居しちゃったし…うん…」

「そんなこと言うなよ、涼夜」

「俊がこう言ってんだから、ゆ~っくり話してこうぜ、涼夜」

 俺の提案はさらりと無効とされ、少しずつ逃げ場を失っていこうとしていた。しかし、ある言葉が頭の中に浮かんだ。「これだ、これしかない」とすがりつく思いで、その言葉に飛び付いた。

「…写真……写真!撮りに行かなきゃいけないんだ」

と言うと、二人は同時にため息を付いた。

「で?今回はどこまで行くの」

 俊が言った。

「う、海まで?」

 二人から「またか」という雰囲気が、俺の身に襲ってくる。

「写真ばっか、撮ってるから、彼女ができないんだよ」

 剛の言葉に少しカチンとなりながら、「ここで付き合ってはいけない」と、ほんの少し我慢をして、

「じゃぁ帰るわ。また来るから」

と言う。

「分かったよ。来てくれてありがとな」

「あぁ。じゃぁな」

 まず俊に手を振る。そしてまだ不満そうな顔をしている剛に手を振ると、俺は逃げるように病院を後にした。
 
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