【ギフチョウの飼育・白馬村篠崎さん】2010.12.23

 ギフチョウとヒメギフチョウを長年飼育している、長野県白馬村の篠崎益雄さんを、11月に尋ねました。ギフチョウもヒメギフチョウも、白馬村では村指定の天然記念物になっており、村教育委員会に届け出をして、飼育している一人です。今年の春にも伺って、お話しをお聞きしましたので、今回は2回目の訪問でした。

 篠崎さんの家は、ギフチョウ、ヒメギフチョウが生息する山まで、わずか50メートルほどのところにあります。山裾には杉林もあり、毎年ギフチョウや、ヒメギフチョウが家の回りで舞っているような環境です。

 現在87歳の篠崎さんは、60歳になった時に、浜栄一さんと交際を始めたのが縁で、蝶をやり出したそうです。最初は写真をやっていたそうですが、お金がかかるのでやめ、今はもっぱら飼育を続けているそうです。

 「チョウが周りでたくさん飛べばいいなと、それでギフチョウとヒメギフチョウを保護している」と話していました。

 見せていただいたギフチョウとヒメギフチョウは、外気温とほぼ同じ物置の中でした。プラスチックのケースの底に新聞紙を敷き、その上に紙でできた、高さ5センチほどのポットが14個伏せてありました。蛹はそのポットの中にいます。

 ポットを1つ手に取って見ると、蛹は表面がでこぼこしており、黒いピーナッツにも見えます。そんな蛹が5、6個、ポットの内側に張り付いていました。


 「風のない、10時から2時頃がいいな。寒い日はチョウもでない」と、山の方を見つめ、春飛ぶギフチョウやヒメギフチョウに思いを馳せながら、チョウに対する思いを語ってくれました。

 ギフチョウの幼虫の食草のカンアオイがあると言うので、篠崎さんに庭を案内してもらいました。家の西側の庭に植えたツバキの下を指差し「こういう環境に植えないとカンアオイは育たない」と言います。 


 白馬村は大変雪の多い村です。一晩に1メートル以上も降ることもあり、積雪は2メートルにもなります。そのため、庭木がみんな雪に埋もれてしまいます。ギフチョウの食草のカンアオイも、冬の間は雪に埋もれています。でもそれがカンアオイにとって、とても良い条件でした。適度の湿気が冬の間も保たれるからです。

 篠崎さんは「カンアオイは乾燥に弱いので、ユキツバキの下で、日があまり当たらない、湿ったところに植えている」と話していました。

 篠崎さんが増やしているカンアオイは、何種類もあります。白馬村に昔からあるミヤマアオイ。小谷村から糸魚川にかけてあると言うコシノカンアオイ。元は戸隠にあり、修行僧が増やしたとも、「雷が落ちなくなる」とも言われて、古い家では日陰の中庭に植えたと言うソノウサイシン。その他、紋のあるカンアオイやら、ないのやら・・・。

 毎年春に羽化したギフチョウを放し、ギフチョウは庭のカンアオイに舞って来ては、卵を産むのです。「食草をいかに増やすかということを、考えなくてはいけない。食草さえ増やしておけば、チョウはどこからでも舞って来る。チョウは元気の源。同好者が増えるといいね」と目を輝かせて語ってくれました。