【水車を回し、道楽でソバ打ち:摩周そば道楽】北海道川湯温泉2010.8.6

【水車を回し、道楽でソバ打ち:摩周そば道楽】北海道川湯温泉2010.8.6ついついペコ

 北海道摩周湖近くの川湯温泉で、そば打ち体験工房の「摩周そば道楽」を経営する藤本義明さん(78)は「72歳から道楽で始めた」と言う、ソバを打ち職人。「のんびりやろうと始めたのに、ちっとものんびりじゃない」と、忙しい毎日を送っています。

 朝は4時に起き、家業のハウスの見回りから始まる日課。一日30食から、多い時で70食のソバを打つ藤本さん。

 「年を取ったら水車を回したいと思っていた」と、目を輝かせてソバ店を始めた経緯を話してくださいました。


  「商売をやるには道路口でやるが、水車を回すなら水のあるところ」と、回したかった水車のために、まずは、近くの川の上流200メートルから、水を引き込みました。

  川は広いそば畑と白樺に囲まれた藤本さんの工房の脇を流れ、引き込んだ水が、水車を回します。




工房に隣接する水車を利用して、イナキビを挽き、石臼でそば粉を挽きます。

水車を回してイナキビを挽く 石臼に少しずつソバを入れ、粉を挽く

 メニューにあるイナキビとソバは、戦後の23年間の開拓時代に遡ります。米はなかなか手に入らなかった時代「ねばるイナキビを麦の中に入れて粘らせて食べた」と、言います。

 ソバは一番遅く蒔いて早く収穫でき、焼け畑で生えやすく、土も柔らかくなるため、当時多くの開拓者が、ソバを作っていたようです。

 5月末から6月上旬にかけてまいたソバは、7がつ中頃から20日頃に花を咲かせ、8月末から9月初めにかけて収穫します。3種類ある品種のうちでも、主にキタワセを作っています。

ソバの花7月12日

 

 藤本さんが収穫したソバは、使う分だけ残し出荷します。

 ソバは石臼で挽き、編み目の異なるふるいにかけます。「粉はメッシュで決まる」と言い、編み目によって「のどごし」が変わり、全粒の粉は香りが強く、粉も粗いそうです。

石臼で挽いたソバの粉

つゆの出しはかつお節で取り、出しを取ったカツオ節は、干して粉にし、肥料に使います。素晴らしいリサイクルです。

 水車ではイナキビを挽きます。イナキビを入れた「いなきび御飯」(200円)は、ちょうど売り切れており、試食できませんでした。

 メニューは、もりそば(600円)、かけそば(650円)、ざるそば(700円)、かしわそば(800円)、いなかそば(750円)の5種類と、いなきび御飯しかありません。


もりそば(左)と、いなかそば(右)。いなかそばは、ちょっと太めで、色も濃い。

工房を始めた当時は、そば打ち体験をやっており「高橋(邦弘)名人のビデオを見ながらソバを打つことにした。そば打ちと言ったら一番へた」と笑い、最初は思っていなかったソバ店を始めることにしました。

 以前50メートルのハウス10棟に摩周メロンとジャガイモをやっていましたが、それらをは息子さんに譲り、現在8割ソバを、30食から70食打ちます。打っても打っても足りない」と言うほどの人気で、先日はシンガポールからのお客さんも訪れました。

 体験は2人から20人まで。3班に分れ、1人大盛りの150グラムのソバを打つことができます。一人前1200円、試食あり、持ち帰りなし。

ここで体験をします。使えないポストが目印です。

  「いつまでやれるんだかねえ。やっぱりねえ、何年も会わない人が会いに来てくれる。この商売をしていなければ会えない。それが一番嬉しい」と、妻の範江さんと共に、微笑んでいました。

笑顔で頑張る藤本さん夫妻

体験は午前10時から。食べるまでにⅠ時間かかる。
午前11時から午後3時。定休日は火曜日。
 
北海道川上郡弟子屈町字川湯温泉(北見通り)7丁目5番12号
電話015・483・3106
  015・483・2929
ファックス015・483・2038
 

いつまでもお元気で

     ついついペコ

【「休まないで!」に応え、冬も営業しています:北海道・摩周そば道楽】2010.12.25

2010/12/25 4:26 に ついついペコ が投稿   [ 2010/12/25 6:07 に更新しました ]


北海道の「摩周そば道楽」の藤本義明さんから電話がありました。「一面の雪化粧ですよ。しばれる。でも冬の間も店を開きます」と。今季の営業を決断した藤本さんから、北海道の冬の様子などをお聞きしました。

今日の川湯温泉の積雪は50センチほど。「湿った雪だから、ビニールハウスが壊れるかと思った」と言うほど重い雪が降りました。ビニールハウスでは、息子さんに譲ったと言いますが、メロンを栽培しています。夏はメロンの成長が楽しみで、毎朝見回っているほどですので、雪の重さが心配で、何度もビニールハウスを見回ったことでしょう。

北海道でも、川湯温泉付近は盆地だから、昔は寒中だとマイナス30度にもなり、温暖化と言われる近年でも、毎年マイナス25、26度になるそうです。真冬には屈斜路湖の氷は諏訪湖の御神渡りのように結氷すると盛る上がり、しばれが高くなればなるほど結構な高さになるそうです。「寒い」よりも「しばれる」の方が、もっと厳しい寒さに感じますね。雪化粧も、信州のそれよりも相当厳しそうです。

そのような環境にある「摩周そば道楽」ですので「冬の間は店を閉めよう」と、思っていたようです。お店を開けるには朝から暖房を入れなくてはいけませんし、そばを打って準備もしなくてはいけません。お客さんが来てくれなければ赤字になります。

でも、お客さんは言うそうです。「赤字になっても良いから休まないで」と。「赤字になったらやっていられないよう」そう叫びたくなるのをユーモアのセンスで吹き飛ばす藤本さんは「今日は吹雪かなくて天気が良かったが、風が吹くと懐と同じで、スースーと風が懐を通り抜けて行く・・・」と、笑います。
そんなことを冗談で言いながらも、風が吹いても、雪が降っても、定休日以外は店を開けるのが藤本さんです。

6泊で5万円と言うツアーもあるようで、ホテルのお客さんが、毎年雪の中を歩いてそばを食べに来てくださるそうです。歩いて来るので、冬でも「ビールないですか」とか、「お酒ないですか」と言うそうです。

「そう言うお客さんがポツラポツラと来てくれるので、やめる訳にも、休む訳にもいかないんですよ。元気なうちですね。元気でお客さんと話しができるのが楽しみです。『美味しいかった』と言って、帰ってくれたら、それが一番励みになります」。そう話す、受話器の向うの藤本さんの笑顔が見えるようで、弾む声は、夏にお会いした時よりも、ずっと若々しく感じられました。

お客さんは、そばも楽しみでしょうが、そんな藤本さんにお会いして、お話しがしたくて行くのでしょう。わたしもそんな藤本さんに、またお会いしたくなりました。
懐を通り抜ける風に負けずに、健康に気を付けて頑張ってくださいね。またお会いしましょう。

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